肩関節周囲炎(かたかんせつしゅういえん)
概要
肩関節周囲炎は、いわゆる「五十肩」と呼ばれる病気で、中高年に多く発症します。若い方ではスポーツ障害などを除き、めったに起こりません。
肩の周囲にある肩峰下滑液包炎、上腕二頭筋長頭腱炎、関節包炎、石灰沈着性腱炎などを総称してこのように呼びます。また、似たような症状でも、首の神経の圧迫(神経根症など)化膿性関節炎、左肩の痛みが実は心筋梗塞の初期症状だったといった病気が隠れていることもあるため注意が必要です。
症状
- 肩から腕(上肢)にかけての痛み
- 夜間・早朝に痛みが強く、痛みで目が覚める
- 痛い方を下にして眠れない
- 服を着る、髪を結ぶ、背中に手を回す動作が困難
初期は炎症による強い痛みが中心ですが、時間がたつと肩が硬くなり、動きに制限が出る「拘縮期(こうしゅくき)」へ移行することがあります。
診断
X線(レントゲン)検査では異常が見えないことも多いが、骨折や変形性関節症などを除外する目的で撮影します
エコー(超音波)検査が有用で、腱や滑液包の炎症を確認
必要に応じてMRI検査で腱板断裂などを確認することもあります
治療
基本は保存療法(手術をしない治療)です。
- 消炎鎮痛剤(内服・湿布)で痛みと炎症を抑える
- 初期は安静を保ち、無理に動かさない
- 症状が強い場合は、ステロイド注射やヒアルロン酸注射を行う
- 痛みが落ち着いてきたら、リハビリ(可動域訓練)で肩の動きを改善
リハビリは、急に動かすと痛みが悪化するため、医師や理学療法士の指導のもとでゆっくり進めることが大切です。
多くは数か月〜1年ほどで自然に改善します
経過と生活の工夫
- 肩を冷やさないようにする
- 痛みのない範囲で軽いストレッチを継続
- 仕事や家事の合間に肩をゆっくり動かす
肩関節周囲炎は時間とともに改善する病気ですが、早期治療とリハビリの継続が回復の鍵です。
痛みが強い場合や夜眠れないようなときは、我慢せず整形外科を受診してください。
