急性腰痛症(きゅうせいようつうしょう ぎっくり腰)
概要
重たいものを持ち上げたとき、朝顔を洗うために前かがみになったとき、椅子から立ち上がるときなど、何気ない動作をきっかけに突然腰が痛くなることがあります。このような状態を「急性腰痛症(ぎっくり腰)」と呼びます。欧米では、その激しい痛みから「魔女の一撃」とも呼ばれています。発症の瞬間、「ピキッ」と電気が走るような痛みが走り、立てなくなることもあります。
症状
- 動作時に走るような鋭い腰の痛み
- 立ち上がりや歩行が困難になるほどの強い痛み
- 前かがみやひねる動作で再び痛みが強くなる
- 安静にしていると少し楽になることが多い
腰に無理な動作(ひねり・反りなど)が加わることで、椎間板・椎間関節・筋膜などが一時的に損傷・炎症を起こすためと考えられています。ただし、明確な原因はまだ完全にはわかっていません。まれに、安静にしても痛みが変わらない場合や、腹部の痛み・冷や汗を伴う場合には、大動脈解離など重篤な疾患が隠れていることもあります。その場合はすぐに医療機関を受診してください。
診断
- 問診と身体診察で痛みの部位や範囲を確認
- レントゲン検査で骨折やすべり症などの異常を除外
必要に応じてMRI検査で椎間板ヘルニアなどの有無を確認します。
治療
治療の基本は保存療法(手術をしない治療)です。
- 発症初期は安静にし、無理に動かない
- 痛みが和らいできたら、できる範囲で日常生活を再開します。
- 消炎鎮痛薬や筋弛緩薬の内服・湿布を併用します。
- 痛みが強い場合はコルセットを短期間装着します。
通常は1〜2週間ほどで自然に改善します。できるだけ早期に軽い動作を再開した方が回復が早いとの報告もあります。
再発予防
- 腹筋・背筋をバランスよく鍛える
- 長時間の同じ姿勢を避ける
- 腰を冷やさないようにする
- 重い物を持つときは腰だけでいかずに膝を曲げて持ち上げる
- 無理な前かがみ動作を避ける
ぎっくり腰は突然の強い痛みで驚く症状ですが、多くの場合は数日〜2週間で自然に回復します。
焦らず、無理のない範囲で体を動かしていくことが大切です。
