概要

首の骨（頚椎）は、頭を支えながら腕や手の動きをコントロールする大切な部分です。この頚椎に加齢による変化が起こり、椎間板や骨、靱帯（じんたい）が変性・変形することで首の痛みが生じることがあります。中年以降に多くみられる病気で、長年の姿勢や負担の積み重ねが原因となります。

症状

• 動かすと首に痛みや違和感が出る
• 首や肩の痛み、こり感
• 腕や手のしびれ、痛み

さらに、変形や椎間板の突出などで脊髄（せきずい）が圧迫されると、手足のしびれ・動かしにくさ（四肢の麻痺）や尿や便が出づらい（膀胱直腸障害）、歩行時のふらつき（歩行障害）が出現します。

診断

• 症状の範囲や神経症状の有無を診察で確認
• X線（レントゲン）検査で骨の変形や椎間の狭さを確認
• 神経症状がある方はMRI検査で椎間板や脊髄の圧迫状態を詳しく評価

治療

神経障害が軽い場合は、保存療法（手術をしない治療）を行います。

• 消炎鎮痛剤による痛み・炎症の緩和
• 頚椎牽引療法で首の負担を軽減
• 頚椎カラー（頚椎固定装具）を短期間装着し、首の安静を保つ

これらの治療で症状が改善することも多く、生活習慣や姿勢の見直しも大切です。

しかし、保存療法を行っても症状が改善しない、手足の麻痺が進行し日常生活に支障をきたしている場合には手術（除圧術や固定術）が必要になることがあります。

予防と生活の工夫

• 長時間のスマートフォンやパソコン使用時は首を前に傾けすぎない
• 姿勢をこまめに変える
• ストレッチや体操で首・肩の柔軟性を維持する

頚椎症は「年のせい」と片づけられがちですが、

早めに治療を始めることで進行を防ぎ、日常生活の質を保つことができます。

首や腕に痛みやしびれを感じたら、我慢せずに早めの受診をおすすめします。