圧迫骨折(ようついあっぱくこっせつ)
概要
圧迫骨折は、背骨(腰椎)の骨が押しつぶされるように変形する骨折です。主に中高年の方や骨粗鬆症(こつそしょうしょう)をお持ちの方に多く見られます。転倒して尻もちをついたり、重い物を持ち上げたりした際に発症することが多いですが、明らかなケガの覚えがないのに起こる「いつの間にか骨折」も少なくありません。女性では閉経後の骨粗鬆症に伴って発症することが多く、注意が必要です。
症状
- 腰や背中の痛み(腰背部痛)
- 体を動かすと痛みが強くなる
- 寝返りや起き上がりが困難になる
痛みが強く、歩行不能となり救急搬送されることもあります
痛みのために活動が制限されることで、筋力の低下や寝たきりの原因にもなります。
診断
- 身体診察で痛みの場所や神経症状の有無などを確認
- X線(レントゲン)検査で椎体のつぶれや変形を確認
- 初期の段階ではレントゲンで異常がわかりにくい場合があり、後日再度検査した際に骨折がわかることもあります
- MRI検査で骨折部の新鮮な変化を詳しく確認できます
- 骨粗鬆症の程度を評価するために骨密度検査を行います
治療
基本は保存療法(手術をしない治療)が中心です。
- コルセットによる固定:体の動きを制限し、骨折部の安定化を図ります。
- 安静:痛みが強い時期は安静が必要ですが、過度な寝たきりは避けます。できるだけ早期に離床・リハビリを開始します。
- 鎮痛薬の使用:痛みを和らげ、生活動作を助けます。
骨粗鬆症の治療:再発を防ぐために、ビスホスホネート製剤・活性型ビタミンD・骨形成促進薬などを用いて骨の強化を図ります。
次のような場合には手術が必要になることがあります。
- 保存療法で痛みが改善しない
- 背骨の変形が進行している
- 下肢のしびれ・痛み・麻痺など神経症状が出現している
手術では、骨セメント注入(BKP)による椎体の安定化や固定術を行うことがあります。
再発予防と生活の工夫
- 骨粗鬆症の治療を行う
- 転倒しにくい環境づくり(段差・照明・履物に注意)
- 背筋や下肢の筋力を保つために、無理のない範囲で運動を継続する
腰椎圧迫骨折は、骨粗鬆症と深く関係する病気です。一度骨折すると再発しやすい(ドミノ骨折)ため、「骨折しない体づくり」が大切です。腰や背中の痛みが続く場合は、早めの受診をおすすめします。
